Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
こうして、お松とすべてを立たせてしまったその夜――沢井の机の家の道場の真中に坐って、涎掛を自分の首にかけて、ひとりで泣いている与八の姿を見ました。
七十五
二里三里と、飽かずに送って来てくれる見送りの者を、しいて断わって帰してしまった時分に、どこからともなく旅姿の七兵衛が現われて来ました。
ここにまた不思議なことの一つは、いつも七兵衛の苦手であったムク犬が、最初から神妙に一行について来たが、今ここで不意に七兵衛が姿を現わしても、吠えかかることをしませんでした。
温容に七兵衛の面を笠の下から見ただけで、その後は眠るが如くおとなしくなっていることです。このことは、ほかの人にとっては、気のつかないことでしたが、七兵衛にとっては一時、力抜けのするほど案外のことでありました。
ムク犬が吠えない代りに、ちょうどこの前後に、駕籠の中の郁太郎が不安の叫びを立てたものです。
「与八さん、与八さん、与八さんはいないのかい、与八さん」
いまさら思い出したように、与八の名を呼びかけ、数え年四つになった郁太郎が、突き出されたように駕籠の外へ出てしまいました。