Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

お雪ちゃんこそは、全く身を以て逃れ出たもので、自分が一番先に発見したという立場から、まずもって急を久助さんに告げ、その足で、二階へ、竜之助に告げに行った。その次の仕事としては、もう、どうしても自分の部屋に戻ることはできませんでした。

部屋そのものに名残りの残るわけではないが、そこには、自分の身のまわりの一切のものが置捨てられてあったのです。

一切のものといううちに、その数々を挙げてみるよりは、その中から取り出し得たものは、この身体と、この身についた寝巻一着だけ、という方がわかり易いでしょう。しかも、この寝巻は自分のものではありません、帯までが宿のものなのです。

河原の真中へ来た時分に、盛んに燃えている自分たちの座敷のあたりを見ると、お雪ちゃんは急に恐ろしくなってしまいました。

ああ、なんだって自分は、こんなに、はしたないのでしょう、せめてあの帯揚だけも、あの手文庫だけも、あの紙入だけも、立ち上る途端に、しっかりとここへ挟んで来ればよかったものを――命より大事なものは無いと言いながら、旅に出ては命同様の役目をする路用の一切を焼いてしまった、ほんとに明日からは、どうするのでしょう。