Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
せめて今夜は機嫌よく一ぱいきこしめす群衆、
まつ黒になつてはたらかねばならぬ明日を忘れて
年寄やわかい女房に気前を見せてどんぶりの財布をはたく群衆、
アマゾンに叱られて小さくなるしかもくりからもん/\の群衆、
出来たての洋服を気にして四角にロオスをつゝく群衆、
自分のかせいだ金のうまさをぢつと噛みしめる群衆、
群衆、群衆、群衆。
八月の夜は今米久にもう/\と煮え立つ。
読者は、藪から棒に、わたしが何をいい出したかと不思議におもうかも知れない。が、ここへもって来たのは、いまの時代でわたしの最も敬愛する詩人高村光太郎氏の「米久の晩餐」という詩の一部である。――どんなに、わたしは、この詩の載った古い「明星」を今日までさがしたことだろう。――今日この文章を書き終ろうとしたとき、ゆくりなくわたしはそれを手に入れることが出来たのである。
わたしは、この詩を、「吉原附近」の「千束町」のくだり、資本主義的色彩のそれほど濃厚な「草津」に対しての、いうところの大衆的の牛肉屋「米久」を説く上で是非そこに引用したいと思ったのである。――が、それには間に合わなかった。――それには間に合わなかったが、けど、わたしはいま、むしろこの詩をもって、この文章を終ることの機縁をえたことを歓びたい。