Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
わたしたちは、よく、その真似をした。
電気館の隣には大きな小屋があった。名前は忘れた。ずっと古くは、竹沢藤次の独楽の見世ものがそこにかかっていた。中ごろには、しばらく、梅坊主がそこを根城にしていたが、その後、岩でこが、代って、そこで興行をつづけた。
わたしは、梅坊主は好きだったが、岩でこは嫌いだった。岩でこには梅坊主の洗練がなかった。
話は違うが、そのころ、カナリ長くつづいていた「新声」という雑誌が潰れ、暫くして、隆文館から同じ名の雑誌が出た。体裁も、内容も、前の「新声」とは気もちの大分ちがうものだったが、忘れもしない、その、三月だか、四月だかに出た、今でいえば特別倍大号のようなものに、「梅坊主と岩でこ」(たしかそういう題だったと覚えている)という堂々たる論文が出ていた。匿名で、その説くところは、梅坊主、岩でこ、両者の関係から、貪婪飽くなき岩でこの、ひそかにその爪牙を磨き、梅坊主を陥れ、ついにこれを追って自分がそのあとに直るに到ったのを憎み、そうして、わが梅坊主のため、万斛の泪を濺ぐのにあった。
わたしは、再読、三読した。どこの、誰が、こんな情理を尽した、歯切のいい、気のきいたものを書いたのだろうと、子供ごころに、わたしは、感嘆これを久しうした。