Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
――というのは、そういうわたくしにして矢っ張、たった一度しか……あとにもさきにもたった一度しか、足を入れた覚えがありませんので、……それも立見、ほんの一トまく覗いた丈で、長い時間そのなかの空気を吸ったのではないので……
さアどの位になりましょう、いまから?――たしかあれは中学の三年……じゃァない、四年……四年ですからいまをさるざっと二十一二年まえになります。年にして十八九……ちょうど俳句のおぼえはじめで、出来た三四人の仲間と一しょにヒマさえあれば「やかな」に憂身をやつしていた時分、ある日その仲間の一人が突然来て「運座へ行かないか、運座へ」とやや昂奮したさまにいったものです……
自分たちだけの間ではみんなもういッぱしの作者のつもりで、何のかのとうるさいことこの上なかったものの、かなしいかな、誰もまだ世間の、そんな気のきいた場所へ出たことのあるものは一人もありません。そういう場所の存在することは知っていても、どうしたらそういうところへ行けるのか、それさえはッきり分らないわれわれでした。――とはいえ、勇気は、身うちにみちみちていました。――わけを聞いて、その仲間の一人の伯父さんの始終行く会で、どうせお前たちが行ったって抜けッこはないが、もし行くんなら連れて行ってやる。