Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
時計をみると五時をまだ十分ほどすぎたばかり。……暗くなるにはまだ手間がかかります……
深川座の講釈ですっかり道草をくってしまいましたが、その日その深川へ足をふみ入れたそもそもの目的は何年にもこころみ損って来た不動さまの縁日の光景をみようというのにありました。なればこそ熹朔さんと銀座から乗った円タクを黒江町で下りました。そこからぶらぶら人出の中を不動さまの表門までたどりつこうというはじめの目算。……その目算を自分から外して、途中、門前仲町の交番の角を急に左へ切れたのは……そうだ、深川座というものがあったッけ、とッさにそうさもしい料簡を起したというものが前にいったあの裏道づたい。……折から上げ汐の、たッぴつにもり上った水の、つながれた大きな船の岸より高くたゆたに浮んでいたあの川ぞいのけしきが果していまどうなっているだろう、どう変ってしまったろう?……そう思ったのに外ならないので……
勿論富岡橋なんぞというものの出来た位です。延いてその両岸の道も高くなれば、積まれたその石崖の手入の行きとどいたこともいうをまちません。これではもういくらしても岸より高く船のもり上りッこありません。