Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme

Aozora Bunko

すなわちわたしが中学を出て大学へ入り大学を出て世の中に出、女房をもったり一人の子供の親とよばれるにいたったりしたあとまでつづいた。……ということは、わたしのあと、わたしのすぐの弟……といっても年はわたしと十幾つ違うきょうだいの一人が先生にまた教わった。そうして何年か後、そのまた下の弟が矢っ張また先生の厄介になった。……ことに下の弟の場合にあっては、かつてのわたしがそうだったように、中学へ入る試験の準備のためにことさらな心づかいをかれは先生に強いた。

その機会に、わたしは、二十幾年ぶりで先生に逢った。むかしとちッとも変らない先生がわたしのまえにあった。ふさふさと濃い毛を無雑作に分けた鬘をわざとてらてらに禿させた老人の鬘にとりかえた以外には、そうして太い眉のいささかのしらがをまじえた以外には、むかしながらにふとって小柄な、むかしながらにけいけいと眼を輝かした、むかしながらにキビキビと精悍の気をみなぎらした先生がわたしの前にあった。――すくなからずわたしは驚いた。

が、わたしがわたしの道すじをたどった二十幾年のそのあいだを、同じ学校の、同じ教室のなかに先生はくらしつづけたのである。