Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
……といっても、当今のことであります。しばし木の葉の下をくぐって、何んとつかずの喫茶店ようのものになっております。そして、窓のまえに貼ってある二枚のビラの一枚には彩色入で、月と、ほととぎすと、駒形堂の屋根が描いてあって、“柳川のお出前をいたします”としるしてあり、一枚には、あたり的と、盆の上にのせたどんぶり鉢とが描いてあって、“うどん、そば、加工”としるしてあります。……その画の稚拙さが、何か、風のつめたい東京の一月のもののあわれをさそいます。ついでながらこの店、以前はまるごとのどぜう汁ばかりで、さいたどぜうはつかわなかったものです。割いてては間に合わない位むかしはいそがしかったからでしょうか?……
尚、横町の中ほどにみえているコンクリートの建物は、浅草座から国華座になり、国華座から蓬莱座になり、蓬莱座からさらに駒形劇場になった末、大正の中ごろ、病院に身うりした芝居小屋のあったあとであります。浅草座といえば、明治の中葉、川上音二郎の“書生芝居”揺籃の地だったのであります。今日の「新派劇」はじつにここから出立したのであって、演劇史的には記念すべき建物でしたが、いまは大平木材株式会社というものになっております。