Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
やきとりやは、だから、あきらかに、形態的に進化した。
が、そのけしきは、どっちにしても……色の褪めたのれんにしても、うす汚れたカーテンにしても、所詮は夜更のものである。更けてはじめて生きてくるけしきである。……ということはその味も、あるいは、すしにしても支那蕎麦にしても、あるいは天麩羅にしても一品洋食にしても、あるいはおでんにしてもやきとりにしても、所詮は夜更のものである。更けてはじめて生きてくる味である。……そこに夜店の……といっただけでいけなければ、夜あかしの、そうした喰物やのうきくさの果敢ないいのちは潜んでいる。
いまなら、さしずめ、傾いた月の、明易く曳いた横ぐもの、ふかぶかとこめた梅雨どきの蒼い靄の、そうしたいろいろの触目のあわれは、夜店の、夜あかしの、そうしたいろいろの喰物やの屋台の外にこれをみ出して、一層そこに強められ、あるいはふかめられるだろう。……そのいのちに触れるからである。うきくさのその果敢ないいのちにはッきり触れるからである。……ということは、わたしをしていまいわしめよ。夜店の、夜あかしの、そうした喰物やこそ、休息した東京の、疲れ果てた東京の、見得も外聞もふり捨てた東京の、うそもかくしもないそのすがたをそういっても寂しく語るものである。