Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
「日曜講演」の掲示に立交る「子供洋服講習会」の立札を見出したとき、わたしの感懐に背いていよいよ「時代」の潮さきに乗ろうとする古いその町々をはっきりわたしは感じた。――浅倉屋は、このごろその店舗の一部をさいて新刊書の小売をはじめたのである。さがみやもまたいままでの店舗を二つに仕切って「めりんすと銘仙」の見世を一方にはじめたのである。
が、忘れ難い。――でも、矢っ張、わたしにはその町々がなつかしい……
何故だろう?
そこには、仕出屋の吉見屋あって、いまだに、「本願寺御用」の看板をかけている。薬種屋の赫然堂あって、いまなおあたまの禿げた主人が、家伝の薬をねっている。餅屋の太田屋あって、むかしながらのふとった内儀さんがいつもたすきがけのがせいな恰好をみせている。――宿屋のふじや、やなぎや、鳥屋の鳥長、すしやの宝来、うなぎやの川松、瓦煎餅の亀井堂、軽焼のむさしや。――それらの店々はわたしが小学校へ通っていた時分と同じとりなしでいまなおわたしをつつましく迎えてくれるのである。――それらの店々のまえを過ぎるとき、いまもってわたしは、かすりの筒っぽに紫めりんすの兵児帯、おこそ頭巾をかぶった祖母に手を引かれてあるいていたそのころのわたしの姿をさびしく思い起すのである。