Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme

Aozora Bunko

軍用機献納……

楼上高くかかげた、かりそめの掲額のその緊急な五文字とともに、遠く、くッきりとうかんでいた……

「これでいいんだ、これで……」

……五十吉はホッとした。……簪やの店のかんざしの花のいろは衰えても、数珠やの店の数珠の玉は、……露冷やかなそのひかりはついに消えない。……何か、かれに、そんな気がした。

かれはいそいだ。そして、すぐ仁王門の下に立った。

抱えきれないほどの太い柱の、あくまで古びたその朱けのいろなら、天井からさがった大提燈の、小舟町だの、四日市だのという煤けた文字に、なおかつ残った墨の匂なら、あやに垂れ交したその控え綱の古びなら、かれは子供の時分から、その下に立つのが好きだったのである。ことに夏の日ざかり、ガランとした、人の声の全くたえたその下に立つと、うそのように涼しい風がどこからともなく吹いて来た。どんな暑さでも、途端にかれは、忘れることができた。……と同時に、かれの目に、隅田川のひろびろとした流れがうかび、青い蘆のしげった洲がうかび、白い帆をかけた舟のかげが寂しくうかんだ。……子供の時分、かれは、画かきになりたいと思ったのである……