Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
「訊いて来ましょう」
そういうと一しょに、本堂のまえのすこしの石段を、むかしの額堂のほうへ下りて行った連れの一人は、すぐまた返って来ていった。
「小梅小学校だそうです」
「小梅小学校?」
わたしたちは改めてその建物をみ直した。――そうすることによって、地震後まだ一度も吾妻橋をわたらない自分を、はッきりわたしはおもい返した。
「乱暴なものをこしらえたもんですねえ」
わたしはそういわざるをえなかった。
「全く……」
わたしの連れはひとしくまたそういった。
が、やがてそこを離れ、裏の石段を瓦町のほうへ下りようとしたとき、急にそのとき思いもよらない「眺め」がわたしたちのまえに展けた。――わたしたちは、すくなくもわたしは、下りかけた石段の中途に、おもわず凝立したものである。
そこからは隅田川が一ト眼だった。……ということは、河岸に、すぐその下の河岸に、わたしの眼を遮るただ一けんの移動バラックさえなかった。雑草の茂るにまかせた広い空地が拡っていた。――ということは、また、そこから、小梅小学校が一ト眼だった……
青い草、そのかげをながれる河の水、その水にのぞんだ灰白色の建物。