Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.179 Zeichen · 280 Bildschirme

Aozora Bunko

ガラッ八も容易に引下がりません。

「目玉へ畳針を当てて、井戸端へ頭を叩きつけたらどうだ」

「それなら井戸端へ血がつくはずじゃありませんか」

「血なんか幾らも出ちゃいないよ」

「もう一度調べ直して下さい。外から曲者が入ったんでなきゃア、家の中の者でしょう。その男は金廻りも悪いが、女癖が悪かったって言いますから」

「さア、もう帰って貰おうか、ガラッ八親分なんざ、物を言うだけ恥を掻くぜ、――昨夜はあの良い月だ。井戸端で立ち廻りをやるのを、家の者が知らずにいるはずもなし、第一、人間の眼は八五郎兄哥の前だが、どこかの岡っ引よりは、よっぽど敏捷いぜ。畳針を突っ立てられるまで、開けっ放しになっちゃいねえ、瞬きをするとか、顔を反けるとか、何とかするよ」

「…………」

「畳針は真っ直ぐに突っ立っているし、頬にも瞼にも傷はねえ」

源吉はしたり顔でした。死体になった丈吉は、衣紋の崩れもなく、瞳へ真っ直ぐに立った畳針を見ると、争いがあったとは思いも寄らなかったのです。

「…………」

ガラッ八はごくりと固唾を呑みました。丈吉が気でも違っていない限り、丈夫な縄も、鋭利な庖丁も捨てて、一番無気味な、一番不確実な、畳針で死ぬ気になった心持が呑込めなかったのです。