Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.179 Zeichen · 280 Bildschirme
「ヘエ――」
八五郎は返す言葉もなく井戸端へ廻りました。間もなく寒垢離を取るような水の音、昼下がりの陽射しはポカポカするようでも正月四日の寒さに、水の音を聴いただけでゾッと身顫いが出ます。
「どうしたのです、親分」
綾之助は眉を顰めました。
「子分のガラッ八というあわて者ですよ、お前さんが入って来なすった時、蔭で声を聴いただけで、誰かに追いかけられるか、後を跟けられている様子だったから、念のために表を見にやったまでの事ですが、根が悧巧じゃないから、余計な事をして溝へ投り込まれたんでしょう」
「そう言えば、市ヶ谷からここまで、始終誰かにつけていられるようで、何とも言えない厭な心持でしたよ」
綾之助は舌を巻きました。
入口に訪れた人の声を聴いただけで、その後を縋けている者があると察したのは恐ろしい慧眼です。
「そんな事は何でもありゃしません。八の野郎がつまらない事をしなきゃア、とんだ手柄になったものを――」
「親分、つまらない事は可哀想だぜ、これでも精一杯の仕事をして来たつもりだが――」
八五郎はろくに拭きもしない身体に、新しい袷を引っかけて出て来ました。
「精一杯の仕事? 一体どんな物を見て来たんだ」