Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.179 Zeichen · 280 Bildschirme
「曲者ッ、御用ッ」
飛付こうとするガラッ八を尻目に、
「騒ぐなガラクタ、名乗って出たくれえだ、逃げも隠れもしねえ」
落着き払って懐へ手を入れます。
「風太郎とはお前だったのか、珊五郎、言い分があるなら聞いてやろう」
「お、さすがは平次、よく言った。下手にあがくと俺の懐の中で御墨付はズタズタになるぞ」
兇賊と御用聞は、ピタリと見合ったまま、お互の呼吸を測っております。赤井左門も足尾喜内も、ガラッ八も、もう二人の眼中にはありません。珊五郎というのは、お蔵前で少しは名を売った遊び人、これが怪盗風太郎の正体とは、さすがに平次も予想外だったのでしょう。
「なア平次、お前なら話がわかるだろう、聞いてくれ、こういうわけだ――」
「…………」
娘を後ろに庇いながら、珊五郎の風太郎は声を落しました。
「何の因果か、俺には物を盗まずにいられねえ病気があるんだ。身体も軽く、智恵も人並にあるのが身の仇で、人間業で盗めそうもないものを見るとどうしても盗まずにいられねえ。これが持って生れた俺の弱気だ。――女房が生きている内はまだよかったが、三年前に女房に死に別れてから、どうしても盗み癖を直されねえ、知っての通り俺は暮しに困るわけじゃなし、金が欲しくて盗みをするわけじゃねえ、――今まで盗んだ金や品を、たった一つも身につけないのはそのためだ。