Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.179 Zeichen · 280 Bildschirme

Aozora Bunko

「…………」

「痩せ我慢と言ってもよい、身勝手と言われても構わぬ、――母上様にはお気の毒だが、この私が、武士らしく死ぬのを、せめての御自慢に遊ばして下さい。この心掛はみな、亡き父上始め、兄上、母上様に教えて頂きました」

「…………」

「関一人を節に死なせて、私がノメノメと逃げてなるのでしょうか、母上様」

誰も応えるものはありません。平次も、八五郎も泣いておりました。遅い月が屋根を離れて、五月の街を朧に照しております。

「よく解りました。妻には妻の道、母には母の道、臣下には臣下の道、なるほどおっしゃる通りで、主君を見離せと申した、この平次は馬鹿でございました」

「解ってくれたか、平次」

「この上は止め立てをいたしません。行っていらっしゃい。立派に身代りのお役目を果して下さい。憚りながらお母様はこの平次がお世話いたしましょう」

「辱けない、――そればかりが気がかりであった」

内匠の眼は輝きました。思わず挙げた母の顔、朧月の中に、倅のそれとピタリと合ったのです。

「母上、随分お達者で」

「倅」

二人は手を取り合うことも叶わず、涙に霞む眼を拭うのが精いっぱいでした。

「志賀様、――妻の道、母の道、臣の道の外に、十手の道のあることも覚えておいて下さい」