Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Lisez 三国志(七) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N1. Touchez un mot pour le sens.
N1 · avancé · kanji et kana modernes · 371 916 caractères · 744 écrans
烽火台
一
それは魏の思うつぼで、わが呉の兵馬を、曹操のために用いられるも同様ではありませんか」
然りとする者、否とする者、議場は喧騒した。隠忍久しき呉も、いまや自信満々である。諸将の面上には、かつてのこの国には見られなかった覇気闘志がみなぎっている。
歩隲はかさねて云った。
「反対に、魏の兵馬を、呉の用に供せしめてこそ、上策と申すべきに、さる深慮もめぐらさず、ただひしめいて手ずから荊州を奪らんとするなど、一州を奪るにもどれほどな兵力と軍需を消耗するものか、国力の冗費を思わぬものだ」
すると、主戦的な人々は、声をそろえて、
「そんな巧いわけにゆくものか。犠牲なくして、国運の進展なし。また、国防なし」
と、あちこちで呶号した。
歩隲は、衆口を睥睨して、
「まず黙って聞き給え。いま曹操の弟曹仁は、襄陽から樊川地方に陣取っている。これ、隙あらば荊州に入らんと、機をうかがっているものであるが、彼もさるもの、まず呉に戦わせ、その後、好餌を喰らわんと、唾をのんでひかえておる。――で、呉は今こそ、かねて懸案の対魏方策を一決して、彼の望みどおり同盟の好誼をむすび、その代りに、直ちに、曹仁の軍勢をもって荊州へ攻め入ることを条件とするならば、魏も否やをいう口実なく、われらの思い通りな形勢に導くことになろうではないか」