Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Lisez 三国志(七) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N1. Touchez un mot pour le sens.
N1 · avancé · kanji et kana modernes · 371 916 caractères · 744 écrans
歩く木獣
一
木鹿軍が来れば、蜀軍などは木っ端微塵です」
彼の姉祝融夫人も、その良人孟獲も、今はそれだけを一縷の希望につないでいたところである。やがて八納洞の木鹿が数万の兵をつれて、市門へ着くと聞くや、夫妻は王宮の門を出て迎えた。
「やあ、お揃いで出迎えとはおそれ入るな」
木鹿大王は白象に騎ってきた。象の頸には金鈴をかけ七宝の鞍をすえている。また身には銀襴の戦袈裟をかけ、金珠の首環、黄金の足環、腰には瓔珞を垂れて、大剣二振りを佩いていた。
「安心するがよいよ。孟獲も、奥さんも」
白象から降りると、木鹿王はそう語りながら、蛮旗の林の中を、悠々、王宮の奥ふかく案内されて行った。
彼の連れてきた三万の軍隊の中には、千頭に近い猛獣がまじっていた。獅子、虎、大象、黒豹、狼など、その吠ゆる声もすさまじい程である。
王宮の奥では深更まで歓迎の大宴が開かれたものらしく、終夜たいへんな篝火と蛮楽がさわいでいた。
孟獲夫妻は善を尽し美を尽して三日間の饗宴を続け、あらゆる媚態と条件を附して、木鹿の歓心を得るに努めた。大王のご機嫌は斜めならず、ようやく着城四日目に、
「どれ、明日はひとつ、蜀軍を蹴ちらしてご覧に入れるかな」