Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

Lisez 三国志(七) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N1. Touchez un mot pour le sens.

N1 · avancé · kanji et kana modernes · 371 916 caractères · 744 écrans

Aozora Bunko

南山の間道から、蜀兵はぞくぞく山地に入り、遠く野へ降りて迂回していた。また、北門は江へ舟を出して、夜中に対岸へあがり、これも、玄徳の退路を断つべく、枚をふくんで待機する。

「城内の守りは百姓だけでよい。一部の将士のほかは、みな城を出て、玄徳の軍をこの際徹底的に殲滅せよ」

張任は、こう勇断を下して、やがて一発の烽火をあいずに、銅鑼、鼓の震動、喊声の潮、一時に天地をうごかして、城門をひらいた。

時刻は黄昏であった。ここ数日のつかれに、玄徳の軍馬は鳴りをひそめ、今しも夕方の炊煙をあげていたところ。当然、間に合わない。

あたかも黄河の決潰に、人馬が濁流にながされるのを見るようだった。まったくひと支えもせず、八方へ逃げなだれた。

「それ撃て」

「すすめ」

と、その先には、山と江から迂回していた蜀兵が、手に唾して、陣を展開していた。呉蘭、雷同の二将軍とその旗本は、ほとんど、血に飽くばかり勇をふるった。

「あな、あわれ。こんなことが、いったいなぜ昨日にも覚れなかったろう」

玄徳は、悲痛な顔を、馬のたてがみに沈めながら、魂も身に添わず、無我夢中で逃げていた。

見まわせば、一騎とて自分のそばにはいなかった。