Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

Lisez 源頼朝 (みなもとよりとも) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 306 118 caractères · 613 écrans

Aozora Bunko

政子は読み終るとすぐ、細かに裂いて、掌のなかで小さい鞠としてしまった。そして、萱のまえへそれをぽんと抛ると、萱はすぐそれを拾ってどこかへ隠してしまった。

「姫さま……」

彼女は起って、何か抱えて来た土産らしい物を、政子の側に置きながら、

「あまり屋の内にばかり籠っていては、お体にようございませぬ。裏山からわしの牧場の近くまで、お徒歩いなさいませ。お気がはれまする。萱がご案内いたしますで」

とすすめた。

言葉は唯、形式に云っているだけで、彼女の眼は、政子の眼へ、べつな意味を何やら知らせていた。

「…………」

政子は黙ってうなずいた。

その頬に、紅がさしたのを見ると、それだけで、意味を受け取ったものとみえる。

奥の法音比丘尼にも、他の者にも、眼にふれないように、政子はそっと尼院の裏垣から抜け出して行った。

萱は先に立って、

「――こちらへ」

と手招きしては、かなり急な石の多い山の小道を、登って行った。

尼院の屋根はすぐ眼の下になった。走り湯権現の堂閣も下に見えた。岬の断崖の下に搏つ荒磯の白い浪も下に見えた。

「登れますか、姫さま」

「ええ。これくらいな道」

牧場の妻は当然山馴れてもいる。