Classiques japonais avec furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lisez 源頼朝 (みなもとよりとも) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 306 118 caractères · 613 écrans
しぐれ輿
一
凶い日を選ぶわけはない。
御所之内の館は、祝いに馳せ参じた人馬で埋まっていた。
曇ると、それへまた、ざあっと白い時雨がそそぎかかる。
「よい雨、おめでたい」
「輿入れの雨は吉と申す」
時政夫婦の前に出て、礼をのべて退る客はみな云った。
夫婦は、さすがに落着かない歓びにつつまれていた。客を客にまかせて、屡、花嫁の間を窺いに行った。広やかな三間四間、ほとんど、絢爛な花嫁のしたく物で埋まっていた。柳、桜、山吹、紅梅、萌黄などの袿、唐衣などから、鏡台のあたりには、釵子、紅、白粉など、撩乱の様であった。
政子は、その中に立っていた。
侍女、乳母などに囲まれて、白い絹につつまれかけていた。
ちらと、振向いて、室の入口から見ている父の顔を見た。
「…………」
時政の顔は、いつか大日の御堂で見た折のように、歓びにばかり溢れていない。さびしい影が見える。
「……二十年」
政子は、自分の年だけの恩を思った。眼がうるんでくる。
さし俯向いてしまう。
時政も、茫と佇んでいた。
すると、何かと手伝っていた下の妹たちが、
「父君は、きょうはここにいらっしゃってはいけません。あちらへ行っていてください」