Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

Lisez 源頼朝 (みなもとよりとも) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 306 118 caractères · 613 écrans

Aozora Bunko

三

この老人は、実戦に参加した一人である。さだめし、きょうまでの消息以上、詳しい事を知っていよう。

彼女は何より先に訊ねた。

「父は? ……どうしておりましょうか」

「時政殿には、首尾よう舟を手に入れられて、海路を安房へと、お渡りになりました」

「安房へ」

彼女は、少しも欣しい顔でなかった。――頼朝と一緒にとは、景員が云わなかったからである。

顔いろを察して、老人はすぐ口早に、後のことばを続けた。

「――また、佐殿におかせられましては、明二十八日の未明を期し、一舟後から同じ安房の平北の磯をさして、ご渡海あるはずでござりまする。……が、これは極秘、ゆめ、人にお気どられ遊ばしますなよ」

「……そうか」

初めて彼女の面に、ほっとした容子が漂った。悲痛な別離を知るうちにも、花洩る微かな曙光のような色も見えた。

景員がそこを辞して、僧房へもどると間もなく、彼女も寝所へかくれた。けれど彼女は衾には入らなかった。身拵えもかいがいしく、密かに尼院を出て、真っ暗な伊豆山の上へと、ただ一人で歩いていた。

高原の牧へ出た。

そこの小屋をほとほとと叩き、牧場の妻の於萱を道案内にして、また幾里かを歩きつづけた。