Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lisez 源頼朝 (みなもとよりとも) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 306 118 caractères · 613 écrans
「お会い申すのは、今初めてでござりますが、物心つき初めてから、人と成るまで、一日だに、世に、一人の兄上ありと、伊豆の空を憶わぬ日とてはありませんでした。――兄上にも、お心の隅に、奥州に九郎という一人の弟ありと、他ながらでもお覚えでござりましょう。その弟義経にござりまする。源九郎義経にござりまする! ……」
「覚えている」
頼朝は、云うと、われを忘れて、手をあげた。
「なぜ、そのように、遠くにおるぞ。他人のように隔てておるか。――もそっと、間近う寄って、面を見せよ」
義経は、なお遠慮して、側にいる実平の顔をそっと窺った。実平は、その意を酌んで、
「おことばですから、ずっとお近くへ行って、ご悠りと、お物語りなされませ。――実平は、次に退がっておりますゆえ、ご用の時は、お呼びくださいますよう」
と、小声で云った。
義経は、一人となると、なお、生れて初めて会った兄に対して、処女のような羞恥いと、遠慮を抱いた。
五
――よい骨柄の若者。これが、自分の弟だったか。
頼朝は眼をほそめた。
自分も席をすすませた。義経もすり寄って出た。
「おなつかしゅうございました」
相寄ると、そこには、もう身分の隔ても、権力の相違もなかった。