Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

Lisez 源頼朝 (みなもとよりとも) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 306 118 caractères · 613 écrans

Aozora Bunko

「――ちぇっ、限りがねえ」

舌打ちして、男は崖の途中で坐ってしまった。被っている黒布を解いて汗をふき、それでまた、面をつつみ直した。

奥州の吉次だった。

草鞋ばきに脛当をしめ、袂もむすび上げている。革柄の野太刀を腰にくくって、敏活にうごく眼といい四肢といい、まるで夜盗か何ぞのように向う見ずであった。

猿のさけびが掻消えると、ぐわっ――と谷底の鳴るのが逆しまに、顔をふきあげてくる。そそり立っている岩峭に打つかってくる冷たい風と、渓川のうなりである。

「はてな。宵からお目にかかったのは、まだ猿ばかりだ。やはり光厳が打消したとおり、噂は噂だけのものか」

吉次はつぶやいて星を仰いだ。方角を按じて自分の来た所を確かめているらしい。まちがいなく、この下は僧正ヶ谷だと考える。

僧正ヶ谷ならもう会いそうなものにまだ会わないのだ。――と云っても、彼の期待して来たのは、天狗ではない。人間である。

もっぱら高い世間の噂と、自分の睨んでいる観察と、どっちが正しいか、それを突きとめる為に、彼はこの春、例年の一行よりも先へ都へ来て、去年もおととしも、

(今年こそは。今年こそは)