Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

Lisez 源頼朝 (みなもとよりとも) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 306 118 caractères · 613 écrans

Aozora Bunko

「左様でござる」

取澄ましていると、小舎人は、あわただしく駈けて行った。やがて頼政の子息の仲綱が自身でそれへ来ると、

「おう……これは」

とのみで、お互いに多くも云わず、黙々と木戸を開け、木戸を通り、邸の内のどこかに姿をかくした。

それからだいぶ時刻を措いて、仲綱は父のところへ来て、声密かに、

「新宮十郎行家どのが、旅からお帰りになりました」

と、告げた。

すぐ後から山伏の行家がはいって来た。

頼政は、顔をながめて、

「黙っておられたら人違いするほど、姿も顔もお変りになったのう。……して、諸国の様子はどんなふうでござったか。伊豆へも参られたか。配所におる頼朝様にもお会いなされた事であろうな」

待ちかねていた人であろう。頼政はもう咳もしない。憔悴していた顔色にも、近頃にない元気を取りもどして、矢つぎ早に、訊ね出した。

「ここは、何を申しても、おさしつかえない所か」

と、行家は仲綱へ、室外の気配を糺してから、それに答えた。

「西国は歩きませんが、都から東北はみちのくの近くに至るまで、ほとんど隈なく遍歴しました。伊豆をこえて、亡き頭殿の遺子――この行家には甥にあたる頼朝が成人ぶりも見届けました。