Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.229 caratteri · 389 schermate
仲店には、今宵も涼みの人がにぎわい、町内のかどかどには縁台が出て、将棋、雑談、蚊やり――なつかしい江戸生活の一ページ。
水をまいていた石金は、今のひと柄杓が、したたかお美夜ちゃんの裾にかかったのにおどろいて、あやまり顔にそばへ寄り、肩へ手を置きながら、
「悪いおやじメだ。かあいいお美夜ちゃんに水をかけて、ヤア、こんなにぬらしてしまったナ。なア、かんにんしておくれよ……オヤ! おめえ泣いてるじゃあねえか」
顔をさしのぞくと、なるほどお美夜ちゃんは、パッチリした眼にいっぱいの涙です。
「水をかけたぐれえで、泣くもんじゃアねえ。と言っても、女の子のことだ。おべべをよごしたのが悲しいのだろう。ほんとにおいらが悪かった。サア、きげんをなおして家へけえんな」
無骨な石金が、一生懸命になだめるが、お美夜ちゃんは返事もしません。
大粒の涙がかあいい頬を、ホロホロつたわり落ちるのにまかせて、小さな石像のようにつくねんと立ったまま。
ツクネンと立つたまま、じっとみつめています。血綿のような夕陽雲のただよう西の空を。
石金の言葉など耳にもはいらないお美夜ちゃん。足にしたたか水がかかったのも、てんで気がつかないらしい。