Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate

Aozora Bunko

もちろん小屋にも鍵はかかっていた。けれど不寝番が付きッきりでいるわけではない。彼は漬物樽を踏み台にして、明り窓を破って外へ出た。

材木置場だの、石置場だの、掘り返してある土の山陰などを這って、又八は、西裏御門の辺りまで来た。そして、見まわすと、巨きな槐の木は、まだ元の所に、そのまま立っていた。

「……ああ」

又八は、ほっと胸をなでた。まだこの木が根移しされていないために、自分の生命もつながっていたのだと思った。

「今だ……」

彼は、どこかへ行って、やがて鍬を拾って来た。そして槐の木の下を掘り始めた。自分の生命がそこから拾い出せるように。

「…………」

一鍬掘っては、その音のひびきに胸を騒がせて、鋭い眼が四辺を見まわすのだった。

いいあんばいに見廻りも来ない。鍬は次第に大胆に振りつづけられた。そして穴のまわりに新しい土の山ができた。

五

土を掻く犬のように、彼は夢中でその辺りを掘り起した。だが、いくら掘っても、土中からは土と石しか出なかった。

(誰か先に掘り出してしまったのではあるまいか)

又八は懸念しだした。

そしてよけい、徒労の鍬を揮うことを、止められなかった。