후리가나로 읽는 일본 고전
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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
森 鴎外의 渋江抽斎(しぶえちゅうさい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 166,525자 · 334화면
その三十
その三十
克己を忘れたことのない抽斎は、徳を叱り懲らすことはなかった。それのみではない。あらわに不快の色を見せもしなかった。しかし結婚してから一年半ばかりの間、これに親近せずにいた。そして弘前へ立った。初度の旅行の時の事である。
さて抽斎が弘前にいる間、江戸の便があるごとに、必ず長文の手紙が徳から来た。留守中の出来事を、殆ど日記のように悉く書いたのである。抽斎は初め数行を読んで、直ちにこの書信が徳の自力によって成ったものでないことを知った。文章の背面に父允成の気質が歴々として見えていたからである。
允成は抽斎の徳に親まぬのを見て、前途のために危んでいたので、抽斎が旅に立つと、すぐに徳に日課を授けはじめた。手本を与えて手習をさせる。日記を附けさせる。そしてそれに本づいて文案を作って、徳に筆を把らせ、家内の事は細大となく夫に報ぜさせることにしたのである。
抽斎は江戸の手紙を得るごとに泣いた。妻のために泣いたのではない。父のために泣いたのである。
二年近い旅から帰って、抽斎は勉めて徳に親んで、父の心を安ぜようとした。それから二年立って優善が生れた。
尋いで抽斎は再び弘前へ往って、足掛三年淹留した。