후리가나로 읽는 일본 고전
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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
森 鴎外의 渋江抽斎(しぶえちゅうさい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 166,525자 · 334화면
矢島優善の事は前に言った。五百の兄広瀬栄次郎がこの年四月十八日に病死して、その父の妾牧は抽斎の許に寄寓した。
牧は寛政二年生で、初五百の祖母が小間使に雇った女である。それが享和三年に十四歳で五百の父忠兵衛の妾になった。忠兵衛が文化七年に紙問屋山一の女くみを娶った時、牧は二十一歳になっていた。そこへ十八歳ばかりのくみは来たのである。くみは富家の懐子で、性質が温和であった。後に五百と安とを生んでから、気象の勝った五百よりは、内気な安の方が、母の性質を承け継いでいると人に言われたのに徴しても、くみがどんな女であったかと言うことは想い遣られる。牧は特に悍と称すべき女でもなかったらしいが、とにかく三つの年上であって、世故にさえ通じていたから、くみが啻にこれを制することが難かったばかりでなく、動もすればこれに制せられようとしたのも、固より怪むに足らない。
既にしてくみは栄次郎を生み、安を生み、五百を生んだが、次で文化十四年に次男某を生むに当って病に罹り、生れた子と倶に世を去った。この最後の産の前後の事である。くみは血行の変動のためであったか、重聴になった。その時牧がくみの事を度々聾者と呼んだのを、六歳になった栄次郎が聞き咎めて、後までも忘れずにいた。