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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页
永遠の女性
だから妾には好ましいのだよ。妾はぜひともその心を食べて、噛み砕いて呑んでしまいたい! お前は『永遠の男性』らしい。だから妾は食べてやりたい! そうしてお前を変えてやりたい!」
女の声の絶えた時に、例の富士型の額を持った武士が、顫える声でいいつづけた。
「今、若衆武士が右手を上げた。だがあの眼は何といったらよいのだ! 悲しみの涙をたたえていて、怒りの焔を燃やしている。……だが背後へ引こうとしていながら、同じ所から動かない。とうとう距離は三尺ばかりになった」
そういう武士の後ろ姿を、仲間の三人の美貌の武士たちは、恐怖しながら見守った。
「すぐにあの男は悶絶するぞ!」――その時女の声が笑った。
永遠の女性
笑い声をまじえた女の声が、四人の美貌の武士たちのいるこなたの部屋へまで聞こえて来た。
「もがいても駄目なら忍耐えても駄目だよ。どうせはそこへ落ち込むんだから。みんなの男がそうであったように。でも暁方の鐘が鳴ったら、あるいはそうでなくなるかもしれない。とはいえ結局はのがれられないのだよ。夜は今夜だけではないのだから明日の夜もあれば明後日の夜もある。夜は永遠につづくのだよ。