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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

四 二葉亭は失敗の英雄

これが即ち二葉亭の存在であって、長生きしたからって二葉亭の生涯には恐らく「満足」や「安心」や「解決」や「落着」は決して見出されなかったろう。

四 二葉亭は失敗の英雄

二葉亭は失敗の英雄であった。小説家としては未成の巨人であった。事業家としてドレほどの手腕があったかは疑問であるが、事を侶にした人の憶出を綜合して見ると相当の策もあり腕もあったらしく、万更な講釈屋ばかりでもなかったようだ。実をいうと実務というものは台所の権助仕事で、馴れれば誰にも出来る。実務家が自から任ずるほどな難かしいものではない。ところが日本では昔から法科万能で、実務上には学者を疎んじ読書人を軽侮し、議論をしたり文章を書いたり読書に親んだりするとさも働きのない低能者であるかのように軽蔑されあるいは敬遠される。二葉亭ばかりが志を得られなかったのではない。パデレフスキーも日本に生れたら大統領は魯か文部の長官にだって選ばれそうもない。ダンヌンチオも日本だったら義兵を募る事も軍資を作る事も決して出来なかったろう。西洋では詩人や小説家の国務大臣や商売人は一向珍らしくないが、日本では詩人や小説家では頭から対手にされないで、国務大臣は魯か代議士にだって選出される事は覚束ない。