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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

七 田端の月夜

私は自分が悪文家であるからでもあろうが、夙くから文章を軽蔑する極端なる非文章論を主張し、かつて紅葉から文壇の野獣視されて、君の文章論は狼の遠吠だと罵られた事があるくらい、文章上のアナーキストであったから、文章論では二葉亭とも度々衝突して、内心窃に二葉亭の古い文章家気質を慊らなく思っていた。が、自分のような鈍感者では到底味う事の出来ない文章上の微妙な説を聞いて大いに発明した事もしばしばあったし、洗練推敲肉痩せるまでも反覆塗竄何十遍するも決して飽きなかった大苦辛を見て衷心嘆服せずにはいられなかった。歿後遺文を整理して偶然初度の原稿を検するに及んで、世間に発表した既成の製作と最始の書き卸しと文章の調子や匂いや味いがまるで別人であるように違ってるのを発見し、二葉亭の五分も隙がない一字の増減をすら許さない完璧の文章は全く千鍜万錬の結果に外ならないのを知って、二葉亭の文章に対する苦辛感嘆をいよいよ益々深くした。

七 田端の月夜

三十六年、支那から帰朝すると間もなく脳貧血症を憂いて暫らく田端に静養していた。病気見舞を兼ねて久しぶりで尋ねると、思ったほどに衰れてもいなかったので、半日を閑談して夜るの九時頃となった。