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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

十 北京時代

十 北京時代

川島浪速と佐々木照山・提調時代の生活・衝突帰朝

北京へ行った目的は極東の舞台の中心たる北京の政情を視察する傍ら支那を知るための必要上、本場の支那語を勉強するツモリであったのである。幸い旧語学校の同窓の川島浪速がその頃警務学堂監督として北京に在任して声望隆々日の出の勢いであったので、久しぶりで訪問して旧情を煖めかたがた志望を打明けて相談したところが、一夕の歓談が忽ち肝胆相照らして終に川島の配下に学堂の提調に就任する事となった。

川島浪速の名は今では知らないものはない。満洲朝滅亡後北京の舞台を去って帰朝し、近年浅間の山荘に雌伏して静かに形勢を観望しているが、川島の名は粛親王の姻親として復辟派の日本人の巨頭として嵎を負うの虎の如くに今でも恐れられておる。旧語学校の支那語科出身で、若い東方策士のグループの一人として二葉亭とは学校時代からの親交であった。旧語学校廃校後はさらでも需要の少ない支那語科の出身は皆窮乏していたが、殊に川島は『三国志』か『水滸伝』からでも抜け出して来たような豪傑肌だったから他にも容れられず自らも求めようともしないで陋巷に窮居し、一時は朝夕にも差支えて幼き弟妹が餓に泣くほどのドン底に落ちた。