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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

六

六

その日は大杉の遺骸が帰るというので、留守番だけの大杉の家へ二度も三度も容子を聴きに行った。この晩は大杉に親しいものだけが遺骸の前で通夜するという予定だったので、午後からは待受けしてボツボツ集まるものがあった。自働車の音の響く度毎に耳を傾けたが、イツまで待っても帰って来なかった。その中に遺骸は直ちに自宅へ引取るはずだったが、余り腐爛しているので余儀なく直ちに火葬場へ送棺したと知らせて来た。

その夕方、遺骸を引取って火葬場まで送った近親同志が帰って来た。待受けた我々は官憲の口から語られたという大杉の殺害された顛末や、引渡された遺骸が腐爛して臭気が鼻を衝いて近寄る事さえ出来なかったという咄を聞いた。大杉の思想の共鳴者でなくともその悲惨な運命には同情せずにはいられなかった。

その翌々日の朝、大杉外二名の遺骨は小さな箱へ入れられて自宅に迎えられた。大杉は無宗教であったが、遺骨の箱の前に三人の写真を建て、祭壇を設けて好きな葡萄酒と果物を供えた。その晩は近親と同志とホンの少数の友人だけが祭壇の前に団居して、生前を追懐しつつ香を手向けて形ばかりの告別式を営んだ。