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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
三 食道楽と無頓着
が、んな女が果してあったかドウかは知ない。この晩度々見えた白粉の女がそうらしくも思われたが、マサカに二葉亭が「一見して気象に惚れ込んだ」というほど思い込んだ女があんな下司な引摺だとは信じられなかった。女の写真屋の話はそれ切で、その後コッチから水を向けても「アレは空談サ」とばかり一笑に附してしまったから今以て不可解である。二葉亭は多情多恨で交友間に聞え、かなり艶聞にも富んでいたらしいが、私は二葉亭に限らず誰とでも酒と女の話には余り立入らんから、この方面における二葉亭の消息については余り多く知らない。ただこの一夜を語り徹かした時の二葉亭の緊張した相貌や言語だけが今だに耳目の底に残ってる。
三 食道楽と無頓着
二葉亭には道楽というものがなかった。が、もし強て求めたなら食道楽であったろう。無論食通ではなかったが、始終かなり厳ましい贅沢をいっていた。かつ頗る健啖家であった。
私が猿楽町に下宿していた頃は、直ぐ近所だったので互に頻繁に往来し、二葉亭はいつでも夕方から来ては十二時近くまで咄した。その頃私は毎晩夜更かしをして二時三時まで仕事をするので十二時近くなると釜揚饂飩を取るのが例となっていた。