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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

五 『浮雲』時代の失意煩悶

が、同時にこの二篇に由て初めて崇高なる文学の意義を了解し、堅実なる新らしい文学の基礎を固め、もしくは感激して新文芸の開拓を志すに至ったものは決して少くなかった。国木田独歩の如きは実にその一人であって、独歩一派の自然主義運動は実にこの『あいびき』と『めぐりあい』とに発途しておる。短かい飜訳であるが啻だ飜訳界の新生面を開いたばかりでなくて、新らしい文芸の路を照すの光輝ともなった。その文壇に与えた効果は『浮雲』よりもかえって偉大であったかも知れない。時代の先駈者としての二葉亭の名誉は今から三十余年前にツルゲーネフを飜訳した功績だけでも十分承認しなければなるまい。

五 『浮雲』時代の失意煩悶

『浮雲』著作当時の二葉亭は覇気欝勃として、僅に春廼舎を友とする外は眼中人なく、文学を以てしては殆んど天下無敵の概があった。が、一面から見れば得意時代であったが、その得意というは周囲及び社会を白眼傲睨する意気であって、境遇上の満足でもまた精神上の安心でもまた思想上の矜持でもなかった。

その頃の二葉亭は生活上の必要と文芸的興味の旺盛と周囲の圧迫に対する反抗とからして文学を一生の生命とする熱火の如き意気込があった。