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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
三 二葉亭は長生きしても終生煩悶の人
万更文学の尊重を認めないどころか、現代文化における文芸の位置を十分知り抜いているくせに、頭の隅のドコかで文学を遊戯視して男子畢世の業とするに足るか否かを疑っていた。二葉亭の理智の認める処を正直にいわせれば世界における文学芸術の位置なぞは問題ではないのだが、儒教や武家の教養から文芸を雕虫末技視して軽侮する思想が頭の隅のドコかに粘り着いていて一生文人として終るを何となく物足らなく思わした。ゴーゴリやツルゲーネフの洗礼を受けても魏叔子や陸宣公で鍜え上げた思想がイツマデも抜け切らないで、二葉亭の行くべき新らしい世界に眼を閉ざさした。二葉亭は近代思想の聡明な理解者であったが、心の底から近代人になれない旧人であったのだ。
三 二葉亭は長生きしても終生煩悶の人
それなら二葉亭は旧人として小説を書くに方っても天下国家を揮廻しそうなもんだが、芸術となるとそうでない。二葉亭の対露問題は多年の深い研究とした夙昔の抱負であったし、西伯利から満洲を放浪し、北京では中心舞台に較や乗出していたし、実行家としてこそさしたる手腕を示しもせず、また手腕がなかったかも知れぬが、頭の中の経綸は決して空疎でなかった。