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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

二 二葉亭は実は旧人

二 二葉亭は実は旧人

二葉亭は露国文化の注入者としては先駆者であった。プーシキンやゴンチャローフやドストエフスキーや露西亜の近代の巨星の名什を耽読したのが四十年前で、ツルゲーネフの断章を初めて日本に翻訳紹介したのが三十六年前であった。その頃は日本ばかりでなくて欧羅巴ですらが露西亜を北欧の半開民族視していたから、露西亜の文化なぞは問題とならなかった。露西亜の文学がポツポツ欧羅巴の大陸語に翻訳され出したのはやはり同じ頃からで、何一つ欧羅巴に遅れを取らないものはない日本の文化事業の中でただ一つ露西亜の文学の紹介に率先(縦令その後を続けるものが暫らくなかったにしろ)したというは二葉亭あったがためであった。

が、新らしい露西亜の文芸の研究者、精通者、紹介者としては二葉亭は実に輝いた先駆者であったが、元来露西亜の思想なるものは極めてオーソドックスな官僚的階級差別心と頗る放縦なユートピヤ的空想とあるのみで、近代自由思想の糧とすべきものに乏しかったから、二葉亭は芸術的に露西亜の勝れた世界的大作に負う処があっても思想的に露西亜から学ぶべき何物をも与えられなかった。