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むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页

青空文庫

サッと一太刀!

ご浪人ながらも道場の主人で、門弟衆などもたくさんにあって、内輪もだいぶご裕福らしい。もっともどんなに繁昌したところで、たかが道場の持ち主で、派手な生活はできますまい。にもかかわらず山県先生には、どうやら困っている人たちなどへは、派手にお金などを撒かれるようで、結構至極にございますよ。ただし疑えば疑えますて。全体どこからあんなお金が、集まって来るものでございますやら? ひょっとかすると軍資金として、箱根を越した方角から……おッとおッとこいつはいけない。ここまで喋舌っちゃアいけませんなあ。……で、お喋舌りはこれくらいとして、お別れすることにいたしましょう。とこういうといいのですが。ナーニもっともっと喋舌りますよ」

月光にたっぷり浸りながら、代官松はいいつづけるのであった。

と、紋也は身をひねったが、代官松には見えないように、右手をソロソロと上へ上げると、刀の柄へそっとかけた。

サッと一太刀!

代官松を切ろうとでもするのか山県紋也は身をひねって、抜き打ち居合い腰の姿勢となったが、代官松には気がつかないと見える。なおもベラベラとまくし立てるのであった。

「……が、ご安心なさりませ、どのように世間が物騒であろうと、変な人間がはいり込んで来ようと、そうしてその変な人間たちが、蠢動妄動をしようとも、この私の眼の黒いうちは