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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页
父の怨みを繰り返す
「な、ご貴殿、そうでござろう。やはり浪人は辛いもので。そこで誰かに仕官をしたい。北条のご前は権臣だ。そこでご前に仕えようと思う。が、いかんせん伝手がない。考えたのが左内様のことよ。将を獲ようとする者は、まずその馬を射よというので美人の娘のお菊をけしかけ、巧く左内様に取りもって、そいつの縁で北条のご前へ……ハッハッハッ、いかがでござる! 拙者の眼力は狂うまいがな」しかしここまでいってくると、兵馬はまたもや話をそらせた。「紋也殿、紋也殿、紋也殿そういえば貴殿の俤も、よくご尊父に似ていられますな」
すると今度は紋也のほうが、ヌッとばかりに前へ出た。
父の怨みを繰り返す
ヌッとばかりに前へ出た、山県紋也の心持ちには、いいたいことがたくさんあったが、紋也はいっさいそれを封じて、逆手で相手を圧伏しようとした。「やはりな」とまずもって軽らかにいった。「美作殿と左内殿との、父子の関係は別なものとして、親と子は万事が似ているものと見えます。心も似るでござりましょうよ」
「心も?」といった兵馬の声にはなんとなく不安なものがあったが、
「心? いわっしゃい! なんの心か!」