轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

「北海道新聞」1943(昭和18)年6月12日~12月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,541 字 · 305 页

青空文庫

それで藩侯の兄にあたる松平左近(頼該)の知遇を得ていた関係から、秀之進は早くから藩の学堂たる講道館にまなぶことができ、やや長じてからは藩の師範役である吉田家の道場で直心影の刀法をも稽古する便宜が得られた。

学問も武芸も、かれはたいして骨を折らずに頭角をぬいた。講道館の教官たちは「俊才」と折紙をつけたし、吉田家の道場でも「門中の出色」と定評があった。けれどもその「俊才」とか「出色」という定評は、ふしぎと秀之進にそぐわない感じがあった。そういう定評はなんとなくかれに衣せた着物のようで、本当のかれ自身、正真正銘の早水秀之進はまるで別のところにある、そういう感じが誰の眼にもついた。

養父の市左衛門は云った。

――おまえは精進することなくして文武にぬきんでた、おまえは世間を掌上のものと視ている、そのまま軽薄才士だ、それからこうも云った。――おまえは是れこそと心をうちこむ情熱がない、すべてに信頼の念がない、人を蔑視する、つまりそのままでは無用の長物で、世道人事の妨害となるばかりだ。……子をみる父として一応はうなずける意見だった、がはたして正鵠を射ていたかどうか。