轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

「北海道新聞」1943(昭和18)年6月12日~12月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,541 字 · 305 页

青空文庫

常陸びと

一

云い捨てたまま、秀之進はさっさと葦間の道を去っていった。

常陸びと

一

玉造へあがった早水秀之進はそのまま東へ向って休みなしにあるきつづけ、日が暮れてから鉾田へ着いた。そこはもう鹿島郡なので府中藩の目付の手はとどかない。かれは北浦の岸に臨んだ静かな宿を選んで草鞋をぬぎ、食事が済むとすぐ寝床へはいった。

土浦から素性の知れぬ者に跟けられていた。その緊張がとけて、久しぶりに手足をのばして寝られる、そう思っていると、かなりおそくなって舟が着き、四人づれの客がすぐ近くの部屋へはいって来た。言葉つきで武家だとわかった。

「食事はいらないから酒を早く持って来い」「いっぺんに五六本ずつ持って来るんだ、燗は熱いほうがいい」どなりつけるような声がまるっきり筒抜けに聞えてきた。

――悪い客が来たな。

話しぶりで府中からの追手でないことはわかったが、これでは暫く騒ぐなと思うとやりきれない感じだった。客たちは酌をする妓を呼べと命じていたが、それだけはとりやめになったらしく、間もなく元気に飲み始めたようすだった。

「……一門の茅屋一瓢あり、三尺の雄刀七尺の身、憂国叨りに招く衆人の謗り……」