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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
当時の欧化は木下藤吉郎が清洲の城を三日に築いたと同様、外見だけは如何にも文物燦然と輝いていたが、内容は破綻だらけだった。仮装会は啻だ鹿鳴館の一夕だけでなくて、この欧化時代を通ずる全部が仮装会であった。結局失態百出よりは滑稽百出の喜劇に終った。が、糞泥汚物を押流す大汎濫は減水する時に必ず他日の養分になる泥沙を残留するようにこの馬鹿々々しい滑稽欧化の大洪水もまた新らしい文化を萌芽するの養分を残した。少なくも今日の文芸美術の勃興は欧洲文化を尊重する当時の気分に発途した。
井侯が陛下の行幸を鳥居坂の私邸に仰いで団十郎一座の劇を御覧に供したのは劇を賤視する従来の陋見を破って千万言の論文よりも芸術の位置を高める数倍の効果があった。井侯の薨去当時、井侯の逸聞が伝えられるに方って、文壇の或る新人は井侯が団十郎を愛して常にお伴につれて歩いたというを慊らず思い、団十郎が井侯をお伴にしないまでも切めては対等に交際して侯伯のお伴を栄としない見識があって欲しかったといった。今日の文人の見識としてはさもあろうが、今から四十年前――あるいは今日でもなお――俳優が大臣のお伴をするは社会の実情上決して屈辱ではなかった。