轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

「北海道新聞」1943(昭和18)年6月12日~12月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,541 字 · 305 页

青空文庫

その声を聞いて「ああ早水だ」という者があった。

藩の師範、吉田家の道場で学んだことのある者は、早水秀之進の刀法がどんなものかをよく知っている。骨の髄まで知らされた者も少なくはない。だからいまかれの声を聞いて、中の一人が「早水だ」と叫んだとき、大峰と矢田部を除く五人のあいだに、さっと眼に見えぬ動揺の色があらわれた。かれはその動揺の色をのがさず、

「そうだ、早水秀之進だ」と押っつけるように云った、「だが心配するな、貴公たちを斬ろうとはいわない、そこの二人を受け取ればいいんだ、ほかの者はどいておれ」

そう云いながらかれは向うから走って来る四、五人の足音を耳にした。来たなと思った。七人の者もそれに気づいたとみえ、秀之進の動作をみつめながら、じりじりと萩の門のほうへ位置を移しはじめた。

「大峰と矢田部は此処だ」

秀之進が絶叫した。走って来る人々の中から「おう」と答えるのが聞え、同時に七人の者はどっと萩の門のほうへ崩れだした。

「ほかの者はどけ」

叩きつけるように怒鳴って、秀之進は七人の中へとび込んだ。そこへ向うから走せつけて来た五人の人影が、すさまじく叫びながら殺到した。