轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

「北海道新聞」1943(昭和18)年6月12日~12月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,541 字 · 305 页

青空文庫

……かれはきわめて明るい気質で、口達者で、いつもなにか話していないと気の済まぬほうだった。豪商の子で金に不自由はなし、学問もできるし、人品も(少し背こそ低いが)なかなか立派である。

「してみると」大助は息をつきながら、「してみると、つまり、どうでもわれわれは登るわけなんだな」

答えはなかった。

「わたしは構わないがね、わたしは大抵のことは凌いでゆける健康を持ってるが、早水さんはからだが細いからな、宿の者も云うし、あの宮守も云うし、山開きまえの危険な時期は避けたほうがいいと思うがな」

秀之進はやはりなんとも云わない。あたりの樹々は少しずつ様相を変えて、落葉松のいぶし銀のような芽ぶきがちらほら見えはじめてきた。坂道はしだいに急になる。黒い尖った鎔岩の砂粒が草鞋と足袋の間にはいってあるきにくい。道をはさむ林は深くなってそよ風も通わなくなり、日光は雲ひとつない青空からじりじりと照りつける。郭公が一羽、よく響くこえで鳴きながら二人の頭上を低く飛び去った。

「富士へ登るのをはじめから目的にして来たのならこんなに諄くは云いたくないんだが、なにしろ急に思い立っただけなんだからな、おい富士へ登ろう、と仰しゃる、よろしい登ろう、天気もいいし、せっかく通りかかったものだ、よしきたというわけだ、つまりそんな具合に簡単に考えていたんだ