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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
『金色夜叉』については小波もしばしば弁明しているし、私も度々紅葉から聞いているが、唯の発端をこの事実から思付いたという位に過ぎんので、小波をモデルとしたというのは全然虚伝である。が、小波のこの恋物語は硯友社外の私の耳にすらも早くから聞えていたほどかなりに評判されていた。小波の恋が破れて後、その令嬢が縁付いた婚家の近くに住っていた私は時折美貌を垣間見、淑徳を聞くにつけて小波のために頗る同情に堪えなかった。小波は小皺の寄った今日でも秀麗閑雅を偲ばせる美男だから、少年時代はさこそと推量られるので、「五月鯉」の第一回に梅若丸然とした美少年が荒くれ男に組敷かれる処があるのも大方小波の好か稚児時代の自叙伝の一節だろうと想像する。「五月鯉」は傑作というほどのものではないが無垢なる少年の無邪気な恋を描いたものとしてかなりに評判された。
尤も小波の作はこの処女作に限らず総て何処かに無邪気い処があった。そのくせ風俗壊乱に問われた事が一度や二度でなかったが、根が貴族的に生立った人だから、材料がいつでも素直な温和しい上品なウブな恋であって、深酷な悲痛や捻じくれたイキサツや皮肉な譏刺が少しも見られなかった。