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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

などと云い云い普通の人が一つ二つを喰う間に五つも六つもペロペロと平らげた。

が、贅沢は食物だけであって、衣服や道具には極めて無頓着であった。私が初めて訪問した時にダーウィンの『種原論』が載っていた粗末な卓子がその後脚を切られて、普通の机となって露西亜へ行くまで使用されていた。硯も書生時代から持古るしたお粗末のものなら、墨も筆も少しも択ばなかった。机の上は勿論、床の間にさえ原稿紙や手紙殻や雑誌や書籍がダラシなくゴタクサ積重ねられ、装飾らしい装飾は一物もなかった。一と口にいうと、地方からポッと出の山出し書生の下宿住い同様であって、原稿紙からインキの色までを気にする文人らしい趣味や気分を少しも持たなかった。文房粧飾というようなそんな問題には極めて無頓着であって、或る時そんな咄が出た時、「百万両も儲かったら眼の玉の飛出るような立派な書斎を作るサ、」と事もなげに呵々と笑った。

衣服にもやはり無頓着であった。煙草が好きで、いつでも煙管の羅宇の破れたのに紙を巻いてジウジウ吸っていたが、いよいよ烟脂が溜って吸口まで滲み出して来ると、締めてるメレンスの帯を引裂いて掃除するのが癖で、段々引裂かれて半分近くまでも斜に削掛のように総が下ってる帯を平気で締めていた。