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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
春木町時代に極めて陽気であったのが富坂時代には沈鬱となり、北山伏町時代には徐々荒んで多少自棄気味となり、酒のために警察の厄介になり、警察で演説をして新聞種になった事もあった。
それから後、南榎町に転じてから今の未亡人を迎えて沈着いて来た。生活も段々順調となって名声もまた次第に高く、これから新らしい運命を展開しようという処で意外な魔の手は忽然隕石の如く落下してこの秀麗なる玉人を撃砕した。
あたかもその時私は京都に旅していた。蒲団着て寝たる姿の東山を旅館の窓から瞻めつつ、眠ったような平和な自然美をあくまで貪ぼっていた長閑な夢を破ったのは眉山の訃であった。その頃は眉山と私との往来はやや疎縁になって、眉山の近状について余り知らなかったが、が、こういう悲惨な最後を耳にしようとはかつて夢にだも想像しなかった。
眉山が沈鬱となって偏哲学に耽った富坂時代には時々死を考えた事があったそうだ。死の瞬間は歓喜の美しい飽満であろうと話した事もあった。或時暗黒の中で瞑想している刹那、忽然座辺のものが歴然と見えて、庭前の松の葉が一本々々数えられたとソムナンビュリストの夢のような事をいったりした。