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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
その翌日、私は早速丸善へ行って、果して一冊あったのを直ぐ買取った。明治二十二年の春で、後に聞くと三冊来たのを、一冊は坪内博士、一冊は森田思軒、残る一冊を私が買ったのであるそうだ。
が、紅葉は芸術本位であった故、仏蘭西の写実派には興味を持っても、人生本位の露西亜の小説はジメジメして陰気だと蔑し、その頃からツルゲネフやトルストイを推奨した私を外道と呼び、私等の主張した人生のための文学説を涅哲学と嘲っていた。何かというと能く「君らの外道文学では……」などといったもんだ。
私が初めてドストエフスキーの『侮辱』を読んだ時、これなら脚色の山もあるし、常識的な恋物語もあるから、紅葉も必ず感服しそうなものと思って、度々物語の筋や目貫の個処を話した後に是非読んで見ろといって英訳本を貸した。一と月ほど経ってから読んだかと訊くと、何だか質くどくて面倒臭いもんだといって碌すっぽ読んでいなかった。三月ほどしてから会った時もやはり読んでいなかった。それから四、五カ月も経ってから或時、漸と百頁ばかり読んだそうで、女主人公のネルリが朝早く起きてストーヴの前を掃除している姿が眼前にチラチラするような気がしたと言っていた。