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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
(後に聞くと、この男女は直ぐ近所の近頃検挙された或る社会主義者の家の留守番をしている某雑誌記者で、女は偶然居合わした主義にも何にも関係のないものだそうだ。この男は沖縄人で相貌が内地人らしくないので疾うから覘われていたのだそうだと、当人が後に来ての話である。)
その頃から大杉に対する界隈の物騒な噂が度々耳に入った。大杉は外国の無政府党から資金を持って来て革命を起そうとしているとか、大杉は毎晩子分を十五、六人も集めて隠謀を密議しているとか、「あんな危険人物が町内にいては安心が出来ないからヤッつけてやれ」とか、或る近所の自警団では大杉を目茶苦茶に殴ってやれという密々の相談があるとか、嘘か実か知らぬがそういう不穏の沙汰を度々耳にした。随分相当分別のある人までがそういう虚聞を信じて、私と大杉とが交際あるのを知らないで、「アナタのお宅の裏には大変な危険人物がいて、毎晩多勢集って隠謀を企らんでるそうです、」と告げたものもあった。同じ近所の或る口利きの男は、これも大杉と私と友人関係であるのを知らないで、「柏木には危険人物がある、大杉一味の主義者を往来へ列べて置いて、片端からピストルでストンストン打ったら小気味が宜かろう」